チェビシェフの不等式と大数の法則の話
統計学の概念は使用するものの,いろいろな記号の使い方が物理学の文化なのですこし混乱します 特に,一般の物理量(統計学で言う確率変数に対応)を と書くのはしんどい...
使用しているテキストはこちら.
- 作者: 田崎晴明
- 出版社/メーカー: 培風館
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
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熱力学のテキストで定評のある田崎先生の本ですね. 本文のわかりやすさもそうですが,まず第1章が面白い. 統計力学が成立するに至る経緯を解説する中で,何人もの物理学者が登場しますが,そのひとりひとりに丁寧な脚注がつけられていて,つい読み入ってしまいます.
本題
今日は,統計力学(2008;田崎)の第2章と,現代数理統計学(1991;竹村)から,チェビシェフの不等式,大数の法則,そして中心極限定理に至るまでの流れを復習します.
なお,まとめるのは確率論的な証明です.測度論的な証明はまたそのうち…
チェビシェフの不等式の証明
チェビシェフの不等式(Chebyshev's inequality)
ただし,.
この不等式は視覚的に見てみると,かなり当然のことを言っていることがわかります. まず,から定義される次の確率変数を考えます.
\begin{eqnarray} \theta =
\begin{cases}
1 & if \ |X - \mu| \ge \varepsilon \\
0 & if \ |X - \mu| \lt \varepsilon
\end{cases}
\end{eqnarray}
この定義から,視覚的にも明らかに
\begin{align}
\displaystyle
\theta \le \left(\frac{X - \mu} {\varepsilon}\right) ^2
\end{align}
この両辺の期待値をとると,
大数の(弱)法則の証明
チェビシェフの不等式のを互いに独立で同一の分布に従うの平均に置き換え,
について極限をとるだけです.
よって,サンプル数を十分に大きく取れば,その平均値は真の平均値に収束することがわかりました.
参考文献
- 作者: 田崎晴明
- 出版社/メーカー: 培風館
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 竹村彰通
- 出版社/メーカー: 創文社
- 発売日: 1991/12/01
- メディア: 単行本
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